‐坂道を爆走する大人たちと、街全体が笑顔になる1日
イースターといえば、何を思い浮かべますか?
卵を飾るエッグハント、パステルカラーのデコレーション、チョコレートのウサギ……そんなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
でも、サンフランシスコのイースターはちょっと違います。大人たちが子ども用の三輪車に乗って、急坂を全力で爆走します。

初めて聞いた人は「は?」となります。僕もそうでした。でもこれが、毎年数千人を熱狂させる、サンフランシスコ屈指のカオスなお祭りなんです。
今年で訪れるのは2回目!! 今年も行ってきましたので、その魅力を余すことなくお伝えしたいと思います!
そもそも「Big Wheel Race」って何?

まず「Big Wheel」という言葉について少し解説しますね。Big Wheelとは、プラスチック製の子ども用三輪車(Tricycle / トライシクル)のことです。前輪が大きく低重心なのが特徴で、子どもがペダルを漕いで乗るおもちゃとして1970年代にアメリカで大ヒットしました。英語では「Tricycle=三輪車」が一般的な呼び方ですが、この大きな前輪が目を引くデザインから「Big Wheel」という愛称でも親しまれています。そんな”子どものおもちゃ”に大人が乗って坂を下る、というギャップがこのイベントの笑いの核心です。
全ては、一人の「狂人」から始まった
このイベントの起源は、2000年、Jon Brumitというひとりの男の思いつきから始まりました。
ある日、Jonは偶然Big Wheelを手に入れます。「これで坂を下ったら面白いんじゃないか?」
当時の舞台は、サンフランシスコで有名なLombard Street(ロンバードストリート)。「全米で最も曲がりくねった坂道」として観光客に知られるあの道です。ところが実は、Lombard Streetはサンフランシスコで”2番目に”曲がりくねった坂。のちに登場するVermont Streetこそが、本当の1位なんです!
Jonは数百枚のチラシを配り、仲間を募ってイースターの日曜日に決行。しかしその第1回、坂を下ったのはJon一人だけ。見物人はたった13人でした。
それでも彼はめげずに毎年続けます。少しずつ仲間が増え、2006年には30人のライダーと数百人の観客が集まるまでに成長しました。
YouTubeが歴史を変えた
2006年のレースの様子がYouTubeに投稿されると、動画は瞬く間に拡散。翌2007年には一気に観客が数百人規模にまで膨れ上がりました。
ところが、これがLombard Street住民の怒りを買います。「うちの前でこんな騒ぎはやめてくれ!」と住民が猛反発。Jonたちはついに、あの有名な坂から追い出されてしまいました。
Vermont Streetへ —そして伝統へ…
途方に暮れたJonたちは、Googleマップで代わりの坂を探し始めます。そして見つけたのがVermont Street(ポトレロヒル地区)。調べてみると、なんとLombard Streetと同じ設計者が手がけた坂で、しかもカーブの数はこちらのほうが多く、実はサンフランシスコで最もカーブの多い坂道だったのです!
2008年にVermont Streetで開催してみると、地元住民は大歓迎。「ぜひ続けてほしい」と市に嘆願書まで提出してくれました。こうして現在の場所が定着し、今日まで続く伝統となったのです。
会場の雰囲気
スタート地点
Vermont Streetの頂上付近がスタートエリアです。参加者たちはここで待機しながら、自慢のコスチュームを披露しています。

着いた瞬間から異様な熱気に包まれます。仮装した参加者、カラフルな衣装の観客。そして奥に見えるのが、サンフランシスコの街並みです、このポトレロヒル地区はサンフランシスコの美しい景色を眺めることができます。
特筆すべきは参加者の仮装クオリティです。マリオカートのキャラクター、トーマス、ウサギ、スーパーヒーローなんでもアリ!!
中間地点
急カーブを曲がりきる中間地点が、最も迫力のある観戦スポットです。

疾走してきた参加者が急カーブでスピンしたり、クラッシュしたりする瞬間が目の前で繰り広げられます。なんて迫力があるんだ…
ゴール地点
坂の下、ゴールエリアにも大勢の観客がいます。

蛍光ベストを着たスタッフがメガホンで観客を誘導しながらも、全体的に「大人の文化祭」な空気感が漂っています。転んだ参加者には温かい拍手、うまく下りてきた参加者にはさらに大きな歓声。勝ち負けなんかアリません。それよりも「参加すること」「楽しむこと」が重視されている激しくも温かい空間です。
レースのルール
楽しそうに見えるこのイベントですが、安全のためにいくつか重要なルールがあります。
- 乗り物はプラスチック製のみ:Big Wheel(Tricycle)などプラスチックホイールの乗り物に限定。金属フレームやゴムタイヤは一切禁止です。接触したときの怪我を防ぐためです。
- ヘルメット着用推奨(一応)
- 禁煙・禁酒:市の許可条件として、会場内での飲酒・喫煙は一切禁止(してる人もいるけどね笑)。警察も見回っています
- ゴミは必ず持ち帰る:地域の方々への感謝として、pack in / pack outが徹底されています
- 仮装は任意
参加するなら知っておきたい情報
参加・観戦について
- 観戦:無料
- レース参加:要事前登録 + $10〜$20のドネーション(寄付)をお願いしています。このイベントの運営には許可証の取得など、毎回約$10,000〜$12,000ものコストがかかっています。なので、感謝の気持ちを込めて寄付をお願いしています。
タイムライン
- 午後2時〜3時:キッズレース(子ども専用タイム)(危ないからね)
- 午後3時〜5時:大人レース(メインイベント!)
アクセス
- 場所:Vermont Street & 20th Street, Potrero Hill, San Francisco
- Muni:19番線「Vermont & 20th」下車すぐ
- Uber / Lyft:20th Street & Kansas Streetでの乗降を推奨とのこと。
- 駐車場:周辺は極めて混雑しますので、公共交通機関を強くおすすめらしい (人が行ったり来たりするので、意外と駐車スポットは見つかるけど、人が多いので動きにくい)
観戦のコツ
- 早めに行きましょう。 良いスポットはすぐ取られます
- 中間の急カーブ付近が最高の観戦スポットです
- 仮装して参加するとより楽しめます?(観客ももちろんOK)
なぜこのイベントがサンフランシスコらしいのか
たった一人の男が「面白そう」という理由だけで始め、YouTubeで広まり、追い出されても諦めず、地元住民に愛されながら今も続いている——この物語自体がサンフランシスコ(アメリカ)そのものだと思います。
常識を疑い、自由を愛し、ちょっとおかしな発想を文化にしてしまう力。年齢も、バックグラウンドも、関係なく、みんなが同じものを見て笑い、歓声を上げられる。そんな「純粋な楽しさ」がここにはあります。
おわりに:来年のイースターはVermont Streetへ!
来年のイースター、ぜひVermont Streetへ足を運んでみてください。できれば三輪車(Tricycle)を持って!
僕も来年は参加してみようかな…?笑
参考文献
Bring Your Own Big Wheel. History.
https://bringyourownbigwheel.com/history/
Funcheap. Bring Your Own Big Wheel Race.
https://sf.funcheap.com/city-guide/bring-big-wheel-race/
Bring Your Own Big Wheel. Bring Your Own Big Wheel Loves You.
https://bringyourownbigwheel.com/bring-your-own-big-wheel-loves-you/





